私が大学受験指導をしていたとき、中学受験を経て中高一貫校に通う高校生を多く見てきました。 中学受験で学習したことは、大学受験でも役に立つことがかなり多いです。 ですから、進学先でも普通に学校についていける程度の勉強をしていれば、大学受験において、中学受験を経験していない受験生に比べてかなり有利になっているはずです。 しかし、中学受験の後、燃え尽きてしまったのか、はたまた羽目を外してしまったのか、もはや進学先の授業レベルに追いつけず、現役合格は難しいほど落ちこぼれてしまっている生徒も少なくありませんでした。 中学受験で学習したことが大きな貯金となっていて大学受験を有利に進めている生徒がいる一方で、中学受験の経験が大学受験に役立っていない生徒がいるのは、なぜでしょうか。 社会人として社会に出れば、職場で業務を覚えそれをメモに書き留めたり、文書を読んだり、報告書を書いたり、調べたり、計算をしたり、昇格のために試験を受けたりします。 学生時代に身につけた知識そのものは使わなくても、仕事で必要な様々なことを学び、習得する際には、学生時代に身につけた勉強の仕方、学び方が大いに役立ちます。 社会に出たときに必要な「学力」とは、知識を持っていて成績が良いという意味を含む「学力」というよりも、むしろ「学びたいと思ったときに学び方を知っていて、学ぶという行動を起こせる力」、つまり「学ぶ力」「学べる力」という意味の「学力」なのだと思います。 また、人間は生きていく中で、お金を生み出す手段を講じます。 生業としての価値のみを仕事に見出している人もいれば、自分のアイデンティティを確立したり、自己実現をしたり、自分の人生を有意義に彩ったりするために、仕事イコール人生だととらえている人もいます。 人は、仕事に対して様々な価値づけをしますので、程度の差はありますが、人間が生きることと仕事をすることは、切っても切り離せないものであることは確かです。 その仕事とは、たいていは人と一緒に行うものです。 しかし、次に挙げるような人と一緒に仕事をしたいと思うでしょうか。 例えば、 このように、自律し自立した社会人として求められる人間力が不足していたら、その人は、良好な人間関係を結ぶどころか、仕事ができない人間と扱われて、生きにくくなってしまうのではないかと思います。 人間力、それは「人間として生きる力」、「仕事を通して生き抜いていける力」と言えるでしょう。 ところで、この『学力』や『人間力』は、いつ頃どのようにして身につくものでしょうか。 それらの力の種は、小学生位までに植え、中学・高校と進むにつれて徐々に育んでいくことが必要だと私は思っています。 ただ「親や塾の先生がやれと言われたから言われたことをやればいい」、「親や塾の先生の言うことを素直に聞いていればいい」、「親が行けと言ったから○○中学を受ければいい」・・・ このように、従順にきちんとこなすということも、人生においては大切なことです。 また、確かに言われたことを素直にこなせば、中学受験ではきっと成功するでしょう。 一方、いろいろと想像力を膨らませて考え、自分の意志で自分の判断で決めて、自分で決めたことに対してそれを実現するために努力をする、そして結果を出す、結果に応じて改善策を講じて実行する、という一連の流れは、「物事を推し進めていく」ためのスキルといえます。 このスキルは、中学入学後の学校生活でも、大学受験でも、就職活動でも、社会に出てからも、重要なものではないでしょうか。 ちなみに、このスキルが身についている子は、自分に自信を持ち、自分の選択に責任を持てるので、決断力があり行動的で、難しいことにも挑戦していく傾向にあります。 物事を推し進めるためには、周りの人と協力し合うことが必要なときもありますし、現状を真摯に受け入れ、周りに助けを求める潔さも、人からの非難や中傷、様々な障害といった困難にも負けずに、ひたすら成功を信じる精神力も時には必要です。 このような、 自律して自立した人間として生きていくのに必要なスキルが、自分の人生を自分で切り拓いていく「人間力」であり、その人間力を根底で支える学力が「真の学力」 と言えるでしょう。 この人間力や真の学力の種を、中学受験という幼い時期にこそ訓練させて、植えつけたいものです。その時期をひたすら従順に過ごしていたら決して習得できない力だと思います。 私は、大学受験でも、社会人になっても通用する勉強方法を体得してもらうとともに、単に中学に合格させる指導ではなく、中学受験を通してお子さまに人間力と真の学力の種を作る「自立を促す」指導を行っていきます。 ≫≫≫コース・プランへ |